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ラヴクラフト全集 (3) (創元推理文庫 (523‐3))

 ラヴクラフト作品集第三弾。
 ラヴクラフト作品で幾度と舞台にされるアーカムや、名を記される『ネクロノミコン』の著者アヴドゥル・アルハザードが初めて言及される初期の作品や、作者最後の作品【闇をさまようもの】等、計八作を収録。



【ダゴン】
 ドイツに捕虜として捕らえられたとある船荷監督が単身逃亡、ボートで海上をさまよう内に突如海底から隆起した大地で名状しがたき生物を目撃する話。

 タイトル通りインスマウスの村にある邪教団が崇拝するダゴンと遭遇する話であり、かの有名な「窓に! 窓に!」という台詞が登場する作品。10ページ足らずという脅威の薄さである。これがウ=ス異本か。


【家の中の絵】
 探し物の途中どの街からも遠く離れた地点で嵐にあってしまい、雨宿りのために立ち寄った古びた木造家屋で異様な風貌の老人と出会う。老人の持つ数々の希少な本の話をしているうちに人肉嗜食の絵が描かれた本の話になったのだが、そのとき天井──二階──から落ちてきた雫が開かれた本に赤い染みを作り・・


【無名都市】
 とある探検家がアラビア砂漠の彼方にある忌み嫌われた都を訪れる。膝をついても頭がつかえる程天井の低い神殿が建てられている都の地下深くで、探検家は人間の想像しうる混沌をもしのぐ奇怪な生物のミイラを発見する。


【潜み棲む恐怖】
 ある雷を伴った嵐の夜、キャッツキル地方の高地に住む部落民50人が惨殺される事件が起こった。この事件を部落民の語る伝説と結びつけた主人公は潜み棲む恐怖の正体を暴くため、二人の仲間と共に、テンペスト山の頂上にある館──かつて青と褐色の瞳を持ち、世間との関わりを絶ち、いつのまにか姿を消したマーテンス一族が住んでいた無人館を訪れる。
 しかしその夜、主人公が寝ているうちに仲間の二人を姿を消してしまう。雷の音で目を覚ました主人公は自分の隣で眠っていたものが仲間の一人ではなく、見るも恐ろしい忌むべきものであることに気づいてしまう。

 とある事件から調査に向かい、仲間が消え、その果てに一連の事実を知る。いわゆる外国的なホラーそのものといった内容。ゲームで例えるならバイオハザードやパラサイト・イヴみたいな感じだろうか。別にガンアクションは無いが。
 近親相姦の果てに異形を生み出す。というのは【インスマウスの影】にも使われているテーマであり、そういった点で共通点を感じる作品。


【アウトサイダー】
 とある城に住み、書物でしか外の世界を知らなかった『わたし』が外の世界へ行き人と出会うが、すぐさま人々は未曾有の恐怖に悲鳴を上げながら逃げ出す。呆然とする『わたし』が近くに何者かが潜んでいるのがかとあたりを見回した時、この世ならざる恐ろしい姿をした怪物を目にする。が、それはガラスに映った自身の姿だった。

 なぜか妙に大げさな言葉の一人称視点で進む話。ラブクラフトの他の作品とは雰囲気の作品で、一種の暗示めいた内容であり中々気に入った作品。事実をしった『わたし』が以外と前向きでほのぼのしていたりもする。


【戸口にあらわれたもの】
 ダンの友人、エドワード・ダービィがアセナスと結婚して以降、時々人が変わったかのようなダンの姿が見られるようになった。あるときエドワードは自身の身体をアセナスが乗っ取り、忌まわしい儀式に出向いていることをダンに訴える。その後彼を自宅に送り届ける車の中、エドワードは「さっきの発言は精神的なストレスによる発作だから忘れて欲しい」と言った。しかし、そのときの彼の表情はエドワードのものではなかった。

 珍しく語り手の名前がでてくる作品。自分の身体が徐々に他の人間に乗っ取られていく恐怖を書いた話。それだけ。


【闇をさまようもの】
 作家であるロバート・ブレイクは、フェデラル・ヒルの黒ずんだ教会の中で風変わりな金属の箱に納められた多面体──輝くトラペゾヘドロンを見つける。その時から光を嫌い闇を翔る【闇をさまようもの】が召喚されてしまった。

 ラヴクラフトの友人ロバート・ブロックに捧げられたラヴクラフト最後の作品・・らしい。やたらと語呂のいい『輝くトラペゾヘドロン』や、みんな大好き這いよる混沌さん・・の化身である闇をさまようものが登場し、アザトホースやヨグ・ソトホースの名前も出てくるクトゥルフ神話から入った人が喜びそうな作品。
 混沌さんの化身でありながら蝋燭の光にすら怯えるさまよいさんはかわいい。


【時間からの影】
 政治経済学教授サニエル・ウィンゲイト・ピースリーは1908年から1913年にかけて異常な記憶喪失にかかる。 
 1908年、講義中に突如倒れたウィンゲイトは16時間後に目を覚ますが、目を覚ました彼の発言や顔つきは明らかに自身の素性や過去の記憶の一切をなくしていた。しかも、なぜか彼自身はその記憶の欠如を隠そうとしていた。目を覚ましてからの彼は歴史や科学等様々な知識を貪欲に取り入れ、時には誰も知る由のないよな太古の特異な出来事を口にすることもあった。そして1913年、ウィンゲイトは1908年に倒れた直前の意識のまま、かつて人格を取り戻す。記憶を失ってから彼が書き続けていた記録はすべて燃やされていた。
 
 ラヴクラフトの宇宙観の総決算とかなんとか。時空を超える【大いなる種族】についての話。
 記憶が戻った後も妙な夢や幻覚に悩まされる主人公が見る夢──人格交換されていた間【大いなる種族】と共に生活していた記憶──の内容が主な話の内容で、ページ数の少ない全集三巻で唯一の100ページ構成。
 ホラーというよりもSFで他作品に比べてかなり読みやすく内容も面白いのだが、同じ内容の話をする場面がいくつかあるのが欠点。

 
 



ラヴクラフト全集 (3) (創元推理文庫 (523‐3))ラヴクラフト全集 (3) (創元推理文庫 (523‐3))
(1984/03/30)
H・P・ラヴクラフト

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