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塩狩峠 (新潮文庫)

 母親が幼いころに死んだと教えられ育った永野信夫は、祖母の死をきっかけに母親と出会い共に暮らしていくことになる。
 キリスト教嫌いの祖母に育てられた信夫は、幼い自分を残してまでキリスト教信仰を捨てようとしなかった母が理解できず、家族が自分と違う信仰を持っていることに疎外感を感じるが、共に暮らす内にやがて母が自分を心から愛しているのだと理解する。
 母の愛情を理解しつつもキリスト教のことを理解しきれない信夫は、父の突然の死を契機に大学進学を諦め就職。北海道に引っ越していた昔の親友で今までも手紙のやり取りをしていた吉川と再会。その三年後、吉川の住む北海道へ行くことを決意、吉川と同じ鉄道会社で働き始める。
 ある日、信夫はキリスト教伝道師に出会い、彼の言葉に感銘を受ける。彼の勧めで聖書に記されている一文『汝の隣を愛すべし』を実行する信夫だが、やがて罪を犯した友人を助けようとする一方で友人を見下していた自分に気づき、真実の意味で神の僕になることを誓う。
 キリスト教に目覚めた信夫は、やがてその人柄から誰からも慕われるようになり、信夫の人柄とその教えに惹かれた人達があつまり、キリスト教青年会の支部が結成されるまでになった。
 信夫が愛することを誓い、長い闘病生活の末に健康を取り戻した吉川の妹、ふじ子との結婚のための結納を入れるために乗車した電車が塩狩峠を登る途中、信夫の乗る車両が機関車を離れ峠を下り始めた。暴走した車両を止めるため、信夫は自らの犠牲にして乗客達の命を救ったのだった。



 そんなわけで三浦綾子作【塩狩峠】でございます。
 本作品は、実在したクリスチャンの長野政雄という人物のモデルにした半ノンフィクションの小説だそうで。それはともかく裏表紙の作品紹介が一番最後のシーンなのはどうにかならんのか。シェイクスピア作の【ジュリアス・シーザー】みたいに主人公が死んでから話が展開するのかと勘違いしたぞ。
 
 一人の少年の成長録。といった感じのないようだが冗長な部分がない為読みやすく、テンポよく物語が展開していくので一気に読み進められる良い作品。
 実在したキリスト教徒がモデルになっていること、作者自身がキリスト教徒なのもあってか、随分とキリスト教が贔屓されているのが瑕か。主人公含めた登場人物の生き方、在り方のようなものが美化されすぎていると言うか
、理想的するぎる気もするが、そこは目を瞑ってもいいだろう。そういうのを書くと違う方向性の物語になるし。
 
 自らを犠牲にすることで沢山の人の命を救った主人公だが、長い闘病生活の果てにようやく結ばれようとした直前に愛する人に先立たれた妻としては、信仰に殉じて尊い死を遂げた夫を誇りに想う傍ら、キリスト教というものを『愛する者を死なせた忌むべき信仰だ』と憎むようになる一面もあるのではないかなぁ・・ といった感じで一つ。



塩狩峠 (新潮文庫)塩狩峠 (新潮文庫)
(1973/05)
三浦 綾子

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