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ラヴクラフト全集7 (創元推理文庫)

 これまでに収録できなかった作品やラブクラフトの初期作品、自身のみた夢を友人宛の手紙に書き綴ったものを集めた【夢書簡】を収録したラヴクラフト全集第七巻。これでようやく最後だ。
 


 さて、これまでのように収録作品の内からいくつかを挙げて感想を書いていきたいところなのだが、収録されている十三作品全てが極端にページ数の少ないものばかり・・だからというわけでもないのだが、どうにも印象に残った作品がない。あえて挙げるとするなら、【ファラオと共に幽閉されて】の前半部分が観光旅行記になていたことくらいだろうか。助長極まりなかった。

 ラヴクラフトが友人宛に書いた、ラヴクラフト自身が見た夢を書き綴った【夢書簡】では、そのいくつかがラヴクラフト作品の元になったものだというのが見て取れる。【クトゥルーの呼び声】や【ランドルフ・カーターの陳述】がわかりやすい例か。
 【ランドルフ・カーターの陳述】に関しては、その作品自体と手紙に記した内容がほぼ完全に一致している。自分には経験のないことだからいまいち理解しがたいが、よくもまぁバリエーションに富んだ幾つもの夢をここまで詳細に書き記すことができるものだ。普通なら目が覚めた時点で碌に覚えてもいないか、少し時間が経てば忘れてしまうようなものだと思うのだが。しかし、この手紙自体が小説として完成させた作品よりも面白いのはどうしたものか。読みやすさって大事だね。


【総評】
 これにて別冊を除く【ラブクラフト全集】をようやく読み終えたわけですが、ラヴクラフト作品全てを通しての感想は『とにかく回りくどい』ということ。そういった感想を抱く本はいくらでもあるのだが、如何せんこの人の作品では一つの事象を表現するために使う文字数が多すぎるように思える。
 【時間から影】や【狂気山脈】等の作品から伺えるラヴクラフトが作り出した世界観は非常に面白いのだが、その人智の及ばない出来事や、所謂クトゥルフ神話で言うとこの神話生物といった存在を示すのに「○○であって、○○でないのだ」といったような言葉が多いおかげで、些かソレが示している対象が陳腐なものに思えてしまう。例えるなら、興奮した小学生が舌足らずに自分の見たものを伝えようとしているような・・一体何が言いたいのかさっぱりわからない。
 しかし、前述したように『人智の及ばない出来事や存在』にを示すための言葉である為、人に伝わるような言葉にしてしまうとそれは最早『人智の及ばない出来事や存在』ではなくなってしまうのも事実。その辺りは色々と難しいところだが、読み取れる文章から想像力を働かせるのが一番の解決作だろうか。
 そんなわけで、全て読み終えるのに妙に時間をかけたラヴクラフト全集。数ある作品の中で自分が気に入ったものは、『恐怖』というよりも『不安』を煽る日本の怪談話に通じる内容の【壁の中の鼠】と、落ちてきた隕石がその周辺の土地に及ぼす有害な影響を書き綴ったSF色の強い【宇宙からの色】の二つということでひとつ。



 物語の主人公の周囲で、所謂【恐怖の存在】をほのめかし続けて最後の最後にソレがどういったものであるか示されるあたり、今も昔もホラー作品の作風っていうのは変わらないもんなんだなぁ、と。




ラヴクラフト全集7 (創元推理文庫)ラヴクラフト全集7 (創元推理文庫)
(2005/01/22)
H・P・ラヴクラフト

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