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華氏451度 (ハヤカワ文庫SF)

 レイ・ブラッドベリ作、摂氏233・・じゃなくて【華氏451度】です。紙が自然発火する温度だそうで。




 管理社会SF・・というほどSFしてるわけでもないが、詩や小説等といった本を禁じ、それらを見つけて燃やす焚書官を生業としている男の話。三部構成で、『主人公書物に興味をもつ』→『おっさん達のテロ計画』→『計画失敗そして逃走』という内容で進行していく。
 本を燃やすことに生き甲斐を感じていた主人公がボーイミーツガールして心境が変化していく様や、物凄く微妙なバランスで成立していそうな世界観が面白く、そういった面から一部では中々興味をそそられる内容なのだが、二部からは主人公が暴走を始め、三部では唐突に説教臭くなるという内容の変化っぷりに若干辟易する。早い段階で収拾のつけようのない内容だとは感じていたが・・
 そしてこの手の翻訳本で必ずと言っていいほどに出てくる誤訳関連の話。今作で特別酷かったのは「juke box」→「冗談ボックス」だろう。冗談ボックスって何ですか一体。お金いれて冗談言う箱なんてどこの誰に需要があるというのか。






華氏451度 (ハヤカワ文庫SF)華氏451度 (ハヤカワ文庫SF)
(2008/11)
レイ ブラッドベリ

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猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち (講談社文庫)

 猫弁です。猫なので買いました。



 とある裁判で活躍しすぎたためにペット関連専門のような扱いを受けることになった冴えない弁護士(独身)が、結婚相談所に通いつめて見合いに玉砕しつつ事務所で飼っている猫の世話をしながら霊柩車盗難事件に挑む。そんな内容です。
 探偵ではなく弁護士なので推理小説ではありません。登場人物それぞれを主体で書いた、一見無関係にも見える物語が少しずつ繋がっているのが面白い感じで。黒幕っぽい雰囲気を醸し出していた社長秘書がラストで一言も触れられなかったは少し残念。あの裏で操ってますよ感は一体なんだったのか。
 ドラマ原作大賞という実写ドラマ化を前提とした小説作品らしく、つまり実写ドラマが存在します。ライトノベル含めた様々な小説と違い、こういう前提で作られた作品は映像化による内容の劣化をしないので、そちらのも気になるところです。




猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち (講談社文庫)猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち (講談社文庫)
(2012/03/15)
大山 淳子

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赤村崎葵子の分析はデタラメ (電撃文庫)

 電撃文庫より、【赤村崎葵子の分析はデタラメ】。




 分析部部長を名乗るちょっと変わった美少女に普通(自称)の鈍感系男子高校生が振り回されるお話・・かと思った最初から最後まで終始イチャイチャし通し。そんな内容でして。
 変人の美少女が目の前の気になったことに対して、独断ど偏見と自己解釈に満ち満ちた分析をし、導き出した結果が正しいかを確かめて見事に玉砕。という流れでの全四章。特に山も無ければ谷もない平坦な内容。気になった事象(勝手に)分析し、驚きの(偏見含む)道筋にとって(大抵はどうでもいい)結論を導くというのは、自分も割りとよくやっていることというのもあり、作品の方向性としては中々気に入っている。しかしこの作品が面白いのかというと少し首を傾げて唸る。

 気に入る内容なのに面白いと思えない原因・・まぁ全面的に主人公のせいでしょう。
 地の文全てが主人公の思考をそのまま文章化しているおかげで、「物語を読む」というよりは「物語に対する他者の印象」を読まされているような気になってしまう。こういう書き方自体が悪いとは言わないが、前述の理由で最初から最後までそういう文体で進行する小説はあまり面白いとは思えない。
 ただでさえイマイチ感の漂う地の文を更に悪化させているのが主人公の性格で、ヒロインの発言・行動をとにかく否定する。とことん否定する。これでもかというくらい否定する。否定してどうするのかと思えば放棄する。『分析』というテーマの下に『考える人』であるヒロインの対比としての性格なのかもしれないが、やはり好感が持てない。
 ところで上記の文章は「何故面白いと思えなかったか」という疑問に対する分析ですね。この作品にぴったりだと思います。


 そんなわけで惜しい作品といった感想。現在刊行されている二巻は買おうかと思っていますが、そこから先を買う可能性はお察しといった感じで。




赤村崎葵子の分析はデタラメ (電撃文庫)赤村崎葵子の分析はデタラメ (電撃文庫)
(2013/05/10)
十階堂一系

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ブギーポップ・ウィズイン さびまみれのバビロン (電撃文庫)

 そんなわけでブギーポップシリーズの新刊です。



 毎度のことながらいつも通りな内容ですが。今回はvsイマジネーター繋がりの内容で、時期はビート一巻辺り。ほんとこのシリーズは時期がいったりきたりしますね。
 上遠野作品全てに端役としてでも登場し、本編では初登場時から既に死亡済みだった水乃星透子の影響力の強さが垣間見える感じで。今まで振れられていなかったにも関わらず、今回で唐突に総和機構の一員にも透子派がいたことが判明し、インフレ感が物凄いことになっています。これも毎度言ってる気がしますが、収拾つけられるのでしょうか。
 他には、今作以外の小説でもそうなのですが、ブギーポップシリーズ初期のころの作品であるパンドラで登場したユージンについて妙に掘り返されているのが気になったり。近いうちに再登場しそうな気配もありますが、それも含めて最近の上遠野浩平作品は、それらに一段落つけ、次の段階へ至るための足場を固めていっているような雰囲気を感じます。
 果たして実際はどうなのでしょう。言ったそばからアレですが、回収されてない伏線が増えすぎて足場を固めるどころか液状化している気もします。





ブギーポップ・ウィズイン さびまみれのバビロン (電撃文庫)ブギーポップ・ウィズイン さびまみれのバビロン (電撃文庫)
(2013/09/10)
上遠野浩平

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GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 6 (電撃文庫)

 下巻出るまで待機して時間かけて読み終えて、そんな境ホラ六巻です。



 五巻からそのまま続いているような六巻。上巻で物語の足場を固め、中巻で交渉戦を行い、下巻で戦闘を決着といった進行具合でしょうか。フランスでは前巻からずっと羽柴と太陽全裸が争ってますが。
 中巻から毛利・北条との交渉、北条氏直の超わがままとネシンバラの頭おかしい理論展開の一進一退っぷりがとても良い感じでして。「それはどうなんだ?」と思ってしまうような言葉の応酬で相手に畳み掛けていくのはやはりこの作品の醍醐味。そんな醍醐味絶頂期にネシンバラが中二病拗らせたおかげで、東北三国とP.A.Odaを巻き込んで小田原征伐に備中高松城の戦いエトセトラと色々混ぜた豪華仕様。
 そんな豪華仕様な下巻では、戦闘在り土下座在り早食い在りカラオケ在りの、豪華というよりはお子様ランチのようなトッピング具合でとってもボリューミー。ミトカーチャン参加してきた時点で誰も勝てないような気もしますが、それでもむしろ予想通りな二戦全敗。強すぎる敵キャラは敵味方問わず、肝心なところで負ける法則があるように思えます。その他諸々。様々な相対戦がありますが、参加メンバー誰もが個性強くて殴り合ってるだけではないのが楽しい按配でして。カラオケやっても早食いしても文章のノリが変わらないあたり、作者が変人だよなーと思ったり。

 そんなわけで色々まとめた戦争終わらせてノリキが嫁になり、次は関東開放だー! と一段落ついた雰囲気で段落つけずに続行していく方向のようです。羽柴勢も青春してて爽やかでいい戦争していますねぇ。その中でリタイアしていく連中がいるのは少し物寂しく感じますが、諸々次回へ続く。と







GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 6(上) (電撃文庫)GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 6(上) (電撃文庫)
(2013/05/10)
川上稔

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GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 6(中) (電撃文庫)GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 6(中) (電撃文庫)
(2013/07/10)
川上稔

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GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 6(下) (電撃文庫)GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 6(下) (電撃文庫)
(2013/09/10)
川上稔

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